空色野原

空の下 野原にねころんで つぶやく
No  162

こびとの住む街

オモシロイ

こびとの住む街より

こびとの住む街

== 朝日新聞書評 ==

こびとの住む街 1・2  [著]スリンカチュ [訳]北川玲
[文]大西若人(本社編集委員)  [掲載]2013年02月10日
表紙画像 著者:スリンカチュ、北川玲  出版社:創元社 価格:¥ 1,995


 一寸法師に親指姫、あるいはアリエッティ。いつの時代も、小さな人々の物語が紡がれてきた。
 同時刊行された2冊の写真集の中でも、小さな人々は、けなげに都会を生きている。路上の水たまりは大海原、テニスボールの島でリゾートをしゃれこんだり、ネッシーさながらの靴ひもに王冠の舟で挑んだり。あるいは、吸い殻のベンチでほっと一息つくことも。
 いずれも鮮やかな色彩で、かわいらしい。小さな人々の目、つまり虫の目から見た世界であれば、何もかもが巨大で恐ろしくなるはずだが、これは、むしろ逆。いわば、一寸法師を見守る姫君の目線だから、愛らしいのだろう。
 撮影の舞台は、ジオラマなどの箱庭的な世界ではなく、リアルな街角だ。「1」が主にロンドン、「2」が世界の各都市となっている。光にあふれた街で、何人かのこびとたちは、自分の体ほどもあるハチと戦ったり、キャンディーに車をつぶされたり、とトラブルに巻き込まれる。そして、気だるくたたずむ姿も。
 ポップなんだけれど、ちょっぴり都会の憂愁(ゆうしゅう)も漂う。そして小さいがゆえに顔の細かい造作や表情は分からず、あの人にも、この人にも見えるという普遍性を獲得している。近年はやる、ピントを微妙に操作し、実際の都市風景を模型のように撮ってしまう写真にも通じている。
 何かと息苦しい世をけなげに生きるリトルピープルたち。写真集を開く人はその姿に、ついつい「小さくなった私自身」を見ることになる。

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